万博資料館
“日本の万博”の歴史と発表された技術
ねぇねぇ博士!世界の万博は「新しい技術を発表する場」でもあったんだね。
ぼくたちが住んでいる日本でも万博は開催されたの?
日本でも54年前、大阪ではじめて万博が開かれたぞ!
大阪万博でも、今では当たり前に使われている技術がたくさん発表されたんじゃ!
例えば「携帯電話」なんかもそうじゃよ。
携帯電話も!?
そうじゃよ。当時の人々は画期的なデザインを前に「きっと素敵な未来が待っている」とワクワクしたじゃろうな。
よし!今回は「日本を含めた近代の万博の歴史と発表された技術」についてまなんでいこう。
大阪万博では、未来の暮らしを想像するアイディアがたくさん発表され、今では当たり前に使われている携帯電話や電気で動く自動車、リニアモーターカーが近未来の乗り物として紹介されたんじゃ。
宇宙への夢が広がった瞬間
幅2センチの月の石を食い入るように見る人たち。
アメリカ館では、アポロ12号が前の年に持ち帰った「月の石」が展示され、見た人たちに宇宙への期待と人類の進化を実感させたよ。
ケンタッキーフライドチキン
(ファストフード)
ケンタッキーフライドチキンの一号店。
外資系食堂チェーンの上陸第一号で、
看板もアメリカと同じスタイルだった。
みんな大好きケンタッキーのお店!
すでにアメリカでは普及していたファストフードが日本に広がるのも大阪万博がきっかけだったよ。万博会場内の「アメリカ館」にケンタッキーフライドチキンが出店したんだ。お手軽さは日本でもすぐに評判になり、この年、大阪市にケンタッキーの日本1号店が出店されたよ。
ぼくもケンタッキー大好き!
缶コーヒー
万博をきっかけに日本で缶コーヒーが広がったよ。
日本のコーヒーメーカー、UCCが世界で初めて缶コーヒーを本格的に販売したのも大阪万博だったよ。当時はまだ、コーヒーは自宅か喫茶店で飲むものと考えられ、缶コーヒーは売れなかったんだ。しかし、毎日数万人が集まる万博会場で販売してみたら、飛ぶように売れたというよ。その様子や目新しさがテレビを通じて家庭に伝わっていったんだ。
近い将来に開業する超電導リニア
超電導リニアモーターカーの模型
超電導リニアモーターカーの模型。国鉄(現在のJR)が開発し、時速500キロで走れるという当時でも驚きの技術だったんだ。
1970年の大阪万博では、リニアモーターカーの原型となる「浮上式鉄道システム」という磁力で車両を浮かせて前に進むというアイディアを紹介したよ。
超電導リニアも現在、第一フェーズの東京・名古屋間の沿線各地で工事が進んでいるよ。
開業が楽しみだな~。
人間洗濯機
大阪万博では「人間洗濯機」も登場したよ。ガラス張りの浴槽にお湯がたまると、300個ものゴムボールが放出され、お湯の勢いでボールが体に当たることでマッサージを受けている感覚になれるという機能だったんだ。今では介護用の技術に応用されている。2025年の大阪・関西万博でも、新たな「人間洗濯機」が発表される予定で、注目になっているよ。
人間を洗う洗濯機!?
お風呂にはいっている間に体をマッサージしてくれるんじゃ!
すごい技術じゃろう。
スマートフォンの原型
(ワイヤレスフォン)
ワイヤレス・テレホン
(右)愛・地球博が開かれた2005年当時は、
今でいう「ガラケー」が最も進んだ携帯電話だった。
小さな画面で動画を楽しめた。
当時の電話は、すべて有線で電話線をつなぐ必要があったんだけど、今のスマートフォンの原型といえるワイヤレス・テレホン(無線電話)や、テレビ電話のアイディアも大阪万博で発表されたよ。
大阪万博では、会場内の66カ所に「テレビ電話」が設置され、会場で迷子探しなどに使われたんだって!来場者は、「ワイヤレステレホン(携帯無線電話機)」を手にとって全国に通話することができたんだよ。
電気自動車
ようやく最近見かけるようになってきた「電気自動車」も、大阪万博で披露され、70台が来場客を乗せて会場内を走行していたんだ。
時速6~8キロで、人がジョギングするくらいゆっくりとした速さだったけれど、 日本では初めて披露された技術だったから、注目を集めたんだ。
今では当たり前に使われている技術ばかりだ!
1970年の大阪万博では特にいろいろな技術が発表されたんだね。
大阪万博以降も日本では万博が開かれたの?
大阪万博以降も様々なテーマで万博が開催され、新しい技術が発表されたぞ。
よし、次回は大阪万博以降に開催された万博についてさらにまなんでいくぞ~!
1970年の大阪万博の後も、日本では1975年に沖縄県で沖縄国際海洋博覧会(海洋博)が、1985年には茨城県で国際科学技術博覧会(つくば科学万博)が開かれたんだよ。
万博には「登録博」と「認定博」2種類あるぞ!
万博はいろんなテーマを世界の人たちといっしょに考える大きなイベント「登録博」を5年ごとに開くんじゃ。この登録博とは別に、テーマを一つにしぼった小さめの「認定博」という万博もある。これまでに植物や海、科学、レジャー、交通といったテーマで開かれてきたぞ。
「人間・居住・環境と科学技術」
ペンギンと遊ぶ南極の様子をテレビ会議で生配信
つくば科学万博では、南極の昭和基地で寒さがきびしい中で調査活動を続けている越冬隊の人たちと、日本では初めてとなるテレビ会議を開いたことが話題になったんだ。
南極で ペンギンと遊ぶ隊員のようすがテレビを通じて日本の 家庭にも伝わり、子どもたちも科学の力を実感したよ。
子どもたちの人気は
コンピューターとロボット
つくば科学万博のシンボルとなったのは「コンピューター」と「ロボット」だったよ。当時はまだパソコンがない家庭がほとんどで、パソコンを体験できるパビリオンは、いつも子どもたちが集まって大にぎわいになっていたよ。
ぼくも将来みんなをびっくりさせるようなロボットを作りたいな~
日本で再び「登録博」が開かれたのは2005年の「愛・地球博」(愛知県)。
大阪万博から35年ぶりの総合博で、世界的にも21世紀になって最初の万博となったよ。
「自然の叡智」というテーマをかかげて、21世紀に人間たちが向き合う課題の解決や地球環境を考えた日本発の技術、アイディアを発信する役割が世界から期待されていたよ。
叡智という言葉は少しむずかしい言葉だけど、「すぐれた知恵」という意味じゃよ。
人間が暮らしていくためには、どうしても資源を使い、ごみを出してしまうよね。でも、ちょっとした工夫、あるいは新しい技術を使えば、使う資源やエネルギーの量を減らし、ごみを少なくすることはできるはず。
そのためには何に取り組めば良いのだろう?みんなもいっしょに考えてみてね。
世界中から「すぐれた知恵」を集め、人類共通の問題に取り組もうと呼びかけたのが「愛・地球博」だったんじゃな。
燃料電池バス(FCHV)と
「冷凍マンモス」
愛・地球博では、実用化が始まったばかりの家庭用の燃料電池が展示され、二酸化炭素(CO2)を出さない燃料電池バス(FCHV)が会場間を行き交い、来場者たちを運んだよ。
マンモスを見る当時の天皇陛下(今の上皇さま)、
皇后陛下(今の皇太后さま)と、
皇太子さま(今の天皇陛下)。
シベリアで発掘された1万8000年前のものとみられる「冷凍マンモス」も話題になったんだよ。
IT
(世界初のICチップ活用入場券)
私たちが電車やバス、買い物などで使うICカード(ICチップ)。
世界で初めて入場券にICチップを組み込んだのが、愛知万博だったよ。
カードを機器にかざすだけで簡単に個人情報を確認でき、今では駅の改札など多くの場所で活用されているよね。
万博会場でもパビリオンやイベントの予約ができたほか、リアルタイムで混雑状況を把握したり、迷子さがしのサポートをしたりするサービスを提供することができたんだよ。
ICチップが実用化された事で交通の利用や買い物がよりスムーズになったんじゃ。
モビリティ(i-unit・燃料電池)
愛知万博では、1人乗りの未来カーが登場したよ。トヨタ自動車が開発したパーソナルモビリティ「i-unit」。「人間の拡張」というコンセプトを掲げて、車に「乗る」のではなく、「着る」という感覚で設計されていたんだよ。
2000年代にはいると、アジアや中東地域の「新興国」とよばれる国々が次々と経済成長を遂げ、世界のなかで存在感をみせるようになってきたんだ。
巨大なマスコットがフィナーレを彩った
=2010年10月31日、上海
「日本館」のトイレ
スタッフが付き添いで使い方や衛生的な管理方法を教えてくれた。
上海万博では、「日本館」のトイレが話題になったんだ。日本のメーカーが、便座を温め、温水洗浄装置でおしりを洗えるトイレを展示したんだ。こうしたトイレは、すでに日本では普及していたけれど、世界ではまだめずらしかったんだ。だから、日本発のトイレの「進化」に、世界の人たちはわっと驚いたんだ。
トイレで世界の人を驚かせるなんて、日本の技術はすごいんだね。
2021年にはアラブ首長国連邦(UAE)でドバイ万博が開かれ、中東・アフリカ地域では初めての開催になったんだ。過去最多の192の国と地域が参加したんだ。
エナジーツリー(ソーラーパネル)
18本の「エナジーツリー」
ツリーは1000枚以上のソーラーパネルが備え付けられた、太陽を追跡することができる太陽光発電装置なんだ。このツリーで作られたエネルギーが会場の多くの電力を担ったよ。
グリーン水素製造装置
グリーン水素製造装置
UAEをはじめ中東の国々では石油(原油)がたっぷり採れるけれど、いつまで取れ続けるかはわからない。だから中東では、石油に頼らない次世代エネルギーの研究開発が盛んなんだ。ドバイ万博でも、主催国のUAEの政府が、石油に頼らない水素を使った次世代の発電装置を紹介していたんだよ。
技術でエネルギーや環境の問題を解決するアイディアが発表されたんじゃな。
万博は、こうあったらいいなという「未来への希望」を発表する場でもあるんだね。
そうじゃな~
さて、2025年の万博ではどんな技術が発表されるんじゃろうな!
来年の大阪・関西万博も楽しみだね。
みんなならどんな「未来をデザイン」するだろう。
みんなの描いたデザインが
未来の私たちの暮らしを作っていくんだ。
君もデザインしてみよう!